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漢方スタイリスト・吉田揚子さんに聞く、五感に素直な自分でいるための鎌倉暮らし

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# ライフスタイル , # 吉田揚子 , # 漢方ごはん ,

家事に仕事にと忙しい中でも、できることなら毎日自分らしく暮らしたいものです。自身のルーティーンで日々を心地よく暮らす人にフォーカスする【あの人のすこやかな暮らし】。シリーズ3回目となる今回は、漢方ごはんレシピの連載でお馴染みの漢方スタイリスト・吉田揚子さんが登場。北鎌倉での日々をご紹介します。

「漢方」と「鎌倉」を軸に、夢中になれる日々を創造する

今回ご紹介するのは、「GOOD STYLE」の漢方ごはん連載を監修している漢方スタイリストの吉田揚子さん。北鎌倉のアトリエ「きたかまくら日々響 hi bi ki」を拠点に、“五感に響くゆたかなライフスタイルとしての漢方”をベースとしたライフスタイル提案を続けています。

吉田さん「小さな頃から、『赤毛のアン』の小説シリーズが大好きで、“自然の恩恵にあずかりつつ、健やかにゆたかに自分らしく生きること”に憧れていました。湘南の田舎町で育ったので、共感もあったのだと思います」。

その後、社会に出てからは、都会で毎日を慌ただしく過ごす日々。ふと気づけば、小さい頃からの理想とは程遠い日々に埋もれて、心と体のバランスを崩すことも多くなっていたと言います。そして今から20年ほど前に、 “自然治癒力”を高めて全体をよい方向へもっていく“整体重視型”の予防医学である「漢方」に出会います。

会社員生活から独立して起業。2010年には、自然あふれる北鎌倉に情報発信拠点としてのアトリエ「きたかまくら日々響 hi bi ki」を創設して、「暮らしに生かす漢方」「ライフスタイルとしての漢方」の魅力を伝えるべく、漢方ごはん料理教室やカフェ経営、鎌倉散策ガイドやオリジナル漢方茶のプロデュースなど、人々の暮らしに寄り添うさまざまな活動をスタートさせました。

吉田さん
「暮らしに生かす漢方である“ライフスタイルとしての漢方”は、心と体にきちんと向き合い、今の自分に必要な食材を選んで意識的に食べていくスタイルを基本としています。食に注目するということは、自分自身に注目するということであり、自分を大切にすることでもあります。私にとって漢方との出会いは、ただ単に“食で健康になる”ということだけに収まらず、私自身の理想や生きるスタンスに大きく影響を与えてくれた重要な出会いだったと思っています。そして“ライフスタイルとしての漢方”の本当の魅力を私なりに発信していくことで、少しでも多くの方々の健やかな日々のお役に立てたらと思っています」。

吉田さん「漢方の知識をただ右から左へ伝えるだけでは、“ライフスタイルとしての漢方”の本当の魅力をより多くの方々にお伝えすることはできないと思っています。試行錯誤しながら自分自身が実際に体感してきたことを通して、よりわかりやすく自分らしく表現していきたい。長年、広告や編集制作の仕事に携わってきたこともあり、自分の得意を生かしながら、様々なアプローチを常に模索する日々です。最近は閃きや感性を大切にして、SNSや動画制作などにも力を入れています。私の性質上、合理性や効率だけを最優先にするような状態の中では、創作意欲もやる気も生まれてこないことが分かっているので、できるだけ自由に感性を発揮できるようなニュートラルな状態を保てるよう、意識的な環境づくりを心がけています。そういう意味で、ここ鎌倉という場所も重要なファクターのひとつであると思っています」。

「自然体でニュートラルな自分でいる」吉田さん流ルーティーン

自身の心や体の状態を感じ取り、自分らしく生きるためには五感を開いてニュートラルな状態になることが大切だと考えている吉田さん。自分にとって心地よい環境をつくるための日々の過ごし方を教えてもらいます。

■朝はゆったり、ぼーっとする時間こそが大切
7時半ごろを目処に起床。でもすぐに活動はしません。鳥たちの声や風の音を聴きながら、しばらくベッドから出ないこともあります。実はこの起き抜けのまっさらな時間帯こそが、私にとって自分の本心に向き合えるとてもクリエイティブで大切な時間であることに気づいたのです。心の中に浮かんでくる思いや衝動や閃きを、身支度もせず夢中で言葉にしていく。ボサボサの髪のまま、気づくとずいぶん時間が経っていたりします。そしてそれらの閃きは大抵具現化され、人生の重要なトリガーのひとつになることも多いのです。

■夏場の朝食は漢方スムージー
ゆったりと起きた後は遅めの朝食。夏場はお腹に負担をかけずに色々な栄養を取れる漢方スムージー、冬はスープやミルク系のドリンクが中心です。スムージーは、ほうれん草や小松菜など、色の濃い野菜と、バナナ、りんご、レモンの黄金トリオ(この3つを入れると美味しくまとまります)を中心にアレンジ。酵素たっぷりのキウイ、疲れ目やアンチエイジングに役立つクコの実などをその日の体調や気分に合わせて選びます。この“選ぶ”という行為を通して、自分の今の状態を感じ取ることが大事だと思っています。




■お香で環境を整える
ニュートラルな状態をつくるひとつの方法として、お香を焚いて環境を整えることもあります。その時のお気に入り3種類くらいをローテーションしていて、今は『松榮堂』の『銘香 芳輪』シリーズがお気に入り。その日アトリエにいらっしゃるお客さまのイメージに合わせて香りを選ぶことも。


■庭で自然を感じる
午前中の30分くらいは庭や畑の様子を見に行きます。手入れをするというよりも、風、光、木々の葉擦れの音などで季節の移り変わりを感じることが主な目的。五感を開くスイッチを入れるためのルーティンのひとつです。庭ではトマト、バジル、パクチー、果樹など20種類ほどの野菜や果物を栽培中。




■午前中の仕事
午前中はメールチェックや企画書作成、執筆、SNS更新、ウェブショップの受発注などのデスクワークや発送作業などが中心。最近はYouTubeチャンネル「Hibiki’s 漢方養生ダイアリー/北鎌倉」を立ち上げ、ライフスタイルとしての漢方のことや鎌倉の日常などをアップするのも日課になりました。講座や打ち合わせ、取材などの予定は午後に入れるようにしています。


■昼食はパスタが多め
昼ごはんを食べないと、夕ごはんまでにお腹が空いてしまって仕事にならないので、できるだけ食べるようにしています。パスタが好きで、漢方的にその季節の心と体にちょうどいい食材を組み込んでいくようにしています。

夏におすすめ、アラビアータのレシピも公開中。


■買い出しついでに森を歩いてトレーニング&リフレッシュ
日々響は鎌倉のさまざまなハイキングコースに気軽に入ることができるラッキーな位置にあるので、森を通って買い出しなどに行くことも。森を経由することで体幹トレーニングにもなりますし、何よりリフレッシュができます。

日によっては午後の時間帯に脚を伸ばして、気になる史跡スポットや神社仏閣をめぐります。その様子はInstagram LiveやYouTubeで発信することも。鎌倉研究(中世鎌倉史と文化民俗学)は、ライフワークとして続けています。


■夕食は鎌倉野菜でおうちごはん
晩御飯は18時頃。自分と家族の体調や季節に合わせたシンプルなおうちごはん。鎌倉野菜が毎週届くので、庭の野菜とともになるべく野菜を活かしたメニュー作りをしています。

吉田さんのすこやかに暮らす秘訣は?

✔食事を意識することで、自分を大切にする
✔︎自然や季節を感じて五感をひらく
✔︎自分に合った環境を意識的につくる
✔︎できるだけニュートラルな状態を保ち、“夢中”を大切にする

北鎌倉の豊かな自然に囲まれながら、自分らしい暮らしや生き方を探し続ける吉田さん。食を大切にし、季節の空気を感じることは、誰にでもすぐに始められます。まずは自分自身が何を心地よいと感じるのか、気づいてみるところから始めてみてはいかがでしょうか。

吉田さんが教える漢方ごはんレシピもCHECK!
▶︎疲れやすい夏こそ〈持ち上げる力〉をチャージ!『チキンと夏野菜のスープカレー』
▶︎夏冷え&むくみを解消する『エスニック風しらすぶっかけそうめん』のレシピ


吉田揚子(よしだ・ようこ)

漢方スタイリスト・文筆家・中医薬膳師。
神奈川県立湘南高校、早稲田大学第一文学部卒業・史学士。
2010年に「きたかまくら日々響(hibiki)」を設立し、五感に響くゆたかなライフスタイルとしての漢方を提案。執筆、講師、メディア出演&出稿、レシピ提供、新商品の企画コンサルティングなど幅広く活動。著書に『今日からはじめる漢方ごはん ビジネスパーソンのための漢方』(経法ビジネス新書)など。最新刊『季節と暮らす12カ月 漢方養生ダイアリー』が好評発売中。
▶︎きたかまくら日々響

Photo:Masayuki Furukawa Edit:Maiko Mizusawa
最終更新日:2021年8月19日

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