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「役不足」「割愛する」……その使い方、間違って使っているかも?

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# オフィス , # テレワーク , # ビジネス , # 国語教師吉田裕子 , # 言葉遣い ,

ビジネスシーンではスムーズな会話が必要不可欠。ですが、ふとした時に自分の言葉遣いが正しいのか心配になることも多いのではないでしょうか?そんな悩めるビジネスパーソンのために、国語講師の吉田裕子さんから、適切な言葉遣いを教えてもらいます。
今回は誤用しがちな単語の正しい使い方を勉強しましょう。

【質問】「役不足」は謙遜ではないのでしょうか?

仕事でプロジェクトリーダーをやるように言われ、謙遜して「役不足かと存じますので、お引き受け致しかねます」と断ったところ、「間違っているよ」と指摘されました。どう間違っているのでしょうか?

【回答】「役不足」では、“役”の方が不足しています

「役不足」という言葉は、「人に対して役“が”不足している」という意味です。
ですので、「役不足なので、引き受けられない」だと、「この役目は、私の実力からすれば不足だ。こんな程度の役なんて引き受けたくない」という傲慢な意味になってしまうのです。
難しすぎて荷が重いという場面では、「私では力不足かと存じます」と断るのが正解です

「役不足」の意味を正確に理解するには、ドラマや舞台のことを考えてみると良いでしょう。キャスティングの際、役者の格が問題になることがありますね。若手俳優が主役を務める作品で、脇役として、普段なら主役を張るトップ俳優を呼ぶのはためらわれます。「この人に、こんな軽い脇役を頼むのは失礼ではないか?」となるわけです。
そうした状況のことを「役不足」と呼ぶのです。

つまり、「役不足」はその人の技量や器に対し、与えられている役目が軽いという意味です。正しい例文としては、
「あれだけの実力者にそのポストは役不足では?」
「役不足であると不満が出かねない」
などが挙げられます。

「割愛」の正しい使い方は?

他にも、ビジネスシーンで使い方を間違いやすい語として、「割愛」があります。

ビジネスでは、時間や紙幅の都合から、話の一部を省略しなくてはいけないときに使う表現ですが、「愛」という漢字が含まれている通り、「本当は省きたくないのだけど……」と惜しむ気持ちを表す言葉です。

したがって、「多数の祝電を頂戴しておりますが、時間の都合上、割愛させていただきます」のように使うのが正解です。

「私の自己紹介は割愛して」などと、自分・自社の話を省略するときに「割愛」を使うと、自分たちを重んじているように聞こえてしまいます。

吉田裕子(よしだ・ゆうこ)

大学受験塾の国語講師。カルチャースクールや企業研修にも登壇し、日本語や文章術について指導している。著書に『たった一言で印象が変わる大人の日本語100』(ちくま新書)、『10分読書』(集英社)などがある。東京大学教養学部卒業。

Photo:Adobestock.com、Shutterstock.com

 

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